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インド発Bajajが世界で躍進する理由

インドの風景

提携と輸出で広がるBajaj(バジャージ)の戦略

Bajaj(バジャージ)はインドを拠点とする二輪メーカーでありながら、世界70カ国以上でバイクを展開。その背景には、グローバルメーカーとの積極的な提携と、継続的な輸出戦略があります。KTMとは2007年から協力関係にあり、現在ではKTMの親会社であるPierer Mobility AGの株式も取得するなど、戦略的な関係を築いているのが特徴です。

さらに2020年代には、英トライアンフとも連携を開始し、開発から生産、販売に至るまで幅広く協業が進められています。こうした提携により、Bajajはプレミアムセグメントへの参入も果たしており、価格帯の異なる複数市場への対応が可能です。
東南アジアやアフリカ、中南米といった新興国では、堅牢さと価格のバランスで強みを発揮しており、インド国内にとどまらない成長を続けています。

多様な層をつかむ主力モデルの構成

Bajajの製品ラインアップは、実用性重視のベーシックモデルから、スポーティなモデル、クルーザータイプまで様々。「Pulsar」シリーズはその中心に位置し、排気量別に複数モデルが存在します。軽快でスタイリッシュなデザインが特徴で、特に都市部の若年層から支持されています。

「Dominar」シリーズは、KTMの設計思想を一部取り入れたスポーツツアラーで、長距離向きの設計や落ち着いたハンドリングが特徴です。さらに、燃費効率を重視した「CT」シリーズは、インド市場で高い販売実績を誇り、低維持費と実用性が評価されています。「Avenger」シリーズはクルーザーとしての存在感があり、リラックスしたライディングを好む層に人気です。

こうした多様な展開によって、Bajajはライダーの年齢層やライフスタイルに応じた選択肢を提供しています。価格帯や使い方に合わせて選べるという点は、購入時の安心感にもつながります。

価格と品質の両立がもたらす競争力

Bajajのもう一つの強みは、手の届きやすい価格と、製品の信頼性を両立している点です。例えば、125ccクラスの「CT125X」は、装備を絞りつつも基本性能をしっかり確保しており、10万円台前半という価格設定を実現しています。この価格は、通勤など日常用途での使用が多い新興市場において、特に魅力的です。

コスト削減の工夫は製造工程にも及び、インド国内の部品供給網や一貫した生産体制によって、高い生産効率を維持。それでいて品質面にも抜かりはなく、トラブルの少なさや燃費性能の安定感など、実用面での安心感が評価されています。

こうした製品設計は、価格重視の層だけでなく、性能と信頼性を求めるユーザーも評価。Bajajは価格競争力を軸にしつつも、安さだけに頼らない戦略で市場の支持を集めています。